中東イスラーム民族史

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[読書感想]

アラブ、イラン、トルコの三民族は、それぞれ言語がアラビア語、ペルシア語、トルコ語を話すというものによるらしい。

この本は、前半は民族ごとに歴史をたどる。アラブ系の諸王朝、ペルシアからモンゴル系まで絡むイラン地方、近代イラン王政、トルコ帝国。後半はアラブ独立、トルコの外交、イラン革命といった現代に直接つながるまでの経緯で成っている。

現在中東を支配しているのは主にアラブ系だが、その分量は少ない。イスラム帝国はアラブから始まったが、それは7世紀〜10世紀までであり、以降20世紀まで、千年近くは実質トルコとペルシア(やモンゴル)が中東を支配していたわけで、その面で見れば適切かもしれない。

歴史的にたどっているため、中東についてあまり知らなくても読める構成になっている。ただ、歴史的推移中心なので、なぜそうなっていったかについてはあまり書いていないのは残念だ。いつのまにかトルコもイランも弱体化してしまって、イギリスやロシアに好き勝手にされてしまっているが、その理由が近代化できたできない以上のものがないのは寂しい。

この本でわかるのは、現在の中東情勢を知るには、歴史的経緯が重要だということだ。オスマン帝国では、民族や宗教は共存しており、表面上見える民族主義の歴史は浅いものだということは知っておく必要はあるだろう。